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なんでもかんでも。



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今年もお誕生日おめでとうー!!!

という訳で、今年もおめでとうございました!!
うっかり昨日ケーキを食べてしまったので流石に今日は買えなかったけど、その代わり漸く脱稿しました!!
夏コミ新刊でます!!ひゃっほう!!!
久々にコピーではなく印刷所に行きました。早割狙ってたけど今回もしめきりギリギリでした\(^o^)/
個人名義での本ですが、表紙をナッツさんにお願いしました。
私のイメージを汲んでくださって素敵なものになりそうです!!!仕上がり楽しみー^^

今回は書き下ろし含む再録本になりますー^^とはいっても今までオフで出したのは
全部入れられないので、いくつか載せてあります。
あとは既刊をちょこっと。またそれは後ほどあげます^^

そういうわけでお祝い文を用意してなかったんですが、さっき突発で書いたので
続きに載せてありますー^^
一応ムラユっていうかそんなかんじです!おめでとー!!!



「こんばんわー、調子はどう?」
 コンコン、と扉をノックしてから顔を覗かせると、ベッドがもぞりと動いてみのむしの様に布団を被っていた彼がこっちを向いた。
「…どうして来た」
「フルーツなら食べれるかなーって。あとでお姫様が作ったシャーベットがあるよ」
「…そこに置いておいてくれ。まだパーティーは終わってないだろう」
 つれないねぇ。
 忠告を聞かずにベッドサイドまで寄ると、ゲストルームのそれに横たわっている渋谷の婚約者はぎろりと僕を睨んだ。
「風邪がうつるぞ」
「こっちは夏じゃないから、風邪はひかないよ。馬鹿でも風邪引くのは夏だけ」
「その通りだ。『夏風邪をひくのは君子とそれ以外』…即ち。ぼくは馬鹿ではない…」
「でも残念だったね。楽しみにしてたのに」
 パーティールームと化した大広間に遠い場所でもわかる、このお祭り騒ぎの主役は渋谷有利魔王だ。今日は彼の誕生日で、勿論この日は盛大な宴になる。
 彼はもうこういうのはいいと突っぱねたいらしいが、たまにはパーッとさせないと景気も上がらないという名付け親の話術に乗せられ、今年も大騒ぎである。全く、それはその通りなんだけれど、どうも気に食わないのは個人的な理由だから黙っておこう。
 かくしてそんな賑やかな日に、示し合わせたかのように風邪をひいてしまった婚約者殿はベッドとダンスを踊り、軽やかに包み込まれている最中なのであって…、その様子を見舞いにくるがてら、ちょっと休憩もしたいなと思ったわけだ。
「ユーリは楽しそうか?」
「そりゃもちろん。お姫様の描いた絵と手作りの指輪をつけてご満悦だよ」
 僕は周りに思われる程彼の事は嫌いじゃない。渋谷への忠誠はゆるぎないものだし、幾度となく彼を助けてもらっているし。
 それが恋愛に発展したのはしなかったのかは、僕がどうこう言うべきなのか微妙なところだ。
「そうか、あの指輪は頑張って作っていたからな」
 手作りキットでありそうな粘土をこねて手作りする指輪は、綺麗な青い花のモチーフがついていた。ちょっと大きすぎたその指輪は渋谷の中指にはまっている。
「きみは何を贈ったの?」
「ぼくはユーリの新しい夜着と、変わらぬ忠誠を」
「…歯が浮きそうにかっこいいね」
「何だそれ」
「いや、僕の生まれた国ではそういう真っすぐなセリフはなかなか言えないって事」
 本当にこの婚約者は…余りにもサラッとそんな事を言うなんて。
「ユーリもいい加減に慣れて欲しいのだけどな」
 なんだか僕、ちょっと悔しくなっちゃうんだけどな。
「そうだね、でも渋谷は照れ屋だから」
「確かに…猊下は何をユーリに?」
「僕は新しいボールとタオルと水筒」
「ヤキューか」
「うん」
 ふわりと微笑むそれは綺麗で美しい。美少年が風邪だなんてフラグもいいとこだ。口を開けば年寄り臭いところもあるけど、それを差し引いても尚、彼は魅力的で…。
「猊下、そろそろ戻ってはどうだ。わざわざ来てくれたんだろう?すまなかった」
「渋谷じゃなくてごめんね」
「そんな訳無いだろう」
 冗談めかして言えば、こつ、とグーで腕を叩かれる。僕には癒しの力は無いけど、そっと手を包み込んだ。
「ワン、ツー、スリー」
「ん?」
 両手で包んだ彼の手を離すと、その腕にキャンディを繋げて作ったブレスレットが現れる。驚いた彼の目を見て、僕は笑って見せる。
「のどに効くキャンディだよ、お大事にね」
 あまり知られてはいないけど、僕はマジシャンだったりするわけだ。婚約者の目がそっと笑顔の形になると、僕はベッドサイドを離れる。
「ありがとう」
「いいえ」
 扉を閉めて、広間へと戻る。きっと渋谷はまだまだ一息つく事も許されないはずだ。
 でも今日は口うるさい婚約者がいなくてちょっと寂しいだろう?どうせ彼は真面目だから、いつまで経っても悪さなんかできない。
 きっと暫くしない内にこの廊下をお姫様が駆けていくだろう。そしてユーリ陛下が後から追ってあの部屋の扉を開ける。そうしたら彼はもっと嬉しい顔をする。
 それくらいなんだ、とか思いながらもちょっと切ないのは、僕が渋谷を好きで、婚約者も嫌いになれないから。
「あれ、村田。どこ行ってたの?」
「ちょっと夜風に当たりに」
 トイレから戻ってきたらしい渋谷と廊下で鉢合わせすると、彼は少し疲れているみたいで首をコキリと言わせた。
「そっか。何か今日は寝れそうにないな」
「だね。でもさっき食べたケーキ美味しかったね」
「おう、苺が沢山乗っててな。こないだのも美味しかったし、おれこの時期は太りそうで怖いよ」
「確かに、僕も気をつけなくちゃ」
 地球でもケーキを食べて、こっちでもお祝いをして。僕のあげた指輪は残念ながらしてくれてはいないけど。
「ね、渋谷。誕生日プレゼント、もういっこいい?」
「ん?プレゼント?」
「うん、ちょこっとだけ、手を貸して」
 差し出された指にはまる指輪に微笑むと、その隣の指にちゅ、と吸いつく。
「え?」
「おめでとう有利。僕からは変わらぬ愛を」
「…おっまえ」
「だって、唇にするのは反則かなって」
 へへ、と笑ってみると渋谷は頬を赤くしていた。情けない事にそれだけで、僕の心のささくれがとれていく気がする。
「…とりあえず、ありがとな」
「うん」
 きっと渋谷はこういう事にずっと慣れないし、僕もこんなセリフ滅多に言えない。でもこうして僕は渋谷の何気ない仕草に安心する。
「じゃあ、今日は頑張ってね」
 ここから先は主役はまた皆の輪に入るから、今日はもう話す機会も無いだろう。そう思いながら広間の扉に手をかけると、ふいに渋谷に腕を掴まれる。
「渋谷?」
 そしてその力がぐっと強くなると、渋谷と視線が絡んで。あ、キスだ。と感覚的に感じた瞬間、それはもう唇に触れていた。
「…っ」
 誰が開けるかもしれない扉の前で、渋谷が僕の首に腕を絡める。触れるキスよりももう少しだけ深くして、熱い舌がぬるりと咥内を這う。反射的に目を閉じると、渋谷が満足気に唇を離した。
「…それじゃ、またな」
「…うん」
 渋谷が扉を開けて広間に戻っていく。僕はちょっとだけ遅れて中に入ると、楽しそうに輪の中で笑う渋谷の姿を見つめて、そして広間を後にした。





 



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