なんでもかんでも。

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「卒業生」読みました。泣けた…!!!
ああもう最後は叫びながら読みました。ほんとう良かった。素直に良かった。
ふたりの温度がだんだん温かくなっていくにつれて、自分もすごく温かくなれたきがする。
光すごくよかった。佐条すごくすごくよかった。ハラセンに泣いた。
インスパイアされたわけではないけど、ムラユ小話です。リーマン\(^o^)/
元来、くよくよ悩む性格ではないけど、人並みには立ち止まったり悩んだりしてきたのかもしれない。
別に自分のせいではないけど、今まで進めていたプロジェクトが立ち消えになったりすれば、それはまぁへこんだりもするだろう。要はそういうことだ。
「はぁ…」
結構資料とかデータ作成とか頑張ったんだけどな。なんて、今更言っても仕方の無いことだけれど。
グループの皆も残念がっていたし、責任を問われるわけでもないから、凄く悪いかって言われたらそうでもないんだけどね。
「お客様、お代わりは如何ですか?」
「…あ、じゃあもう一杯」
真っすぐ帰る気になれなくて、ふらりと立ち寄ったコーヒーショップはどこかモダンで、でも若者が沢山いる。
そういえばここは渋谷の近くだったなんて思い出して、ふと同じ名前の彼の顔がよぎった。
サービスです、と出されたナッツ入りの小さなチョコレートを摘まむと、透明な器の中でカラフルなそれは踊る。
なんとなく携帯を取り出して、メールの受信履歴を開くと、渋谷の名前を探してみた。
…最後にメールしたの、二週間前か。
「お待たせしました」
「どうも」
なみなみと注がれたアメリカンを見ながら、店内を見渡せば皆思い思いの時間を過ごしていて。
足を組みかえると、携帯の着歴をいじった。
コール音が、規則的に響く。
『もしもし』
渋谷の声が機械の向こうからすると、ひとつ、チョコレートを口に入れる。
「渋谷、今大丈夫だった?」
『うん、丁度帰ってきたところ』
甘いそれを口の中で転がしながら、意味もなくコーヒーカップの取っ手を見つめる。
「今ね、渋谷にいるんだ。だから急に電話したくなってさ」
『何それ、それで思い出したってわけか』
「うん、だからこれといった事も無かったりするんだよね」
『はは、村田にしちゃ珍しいな』
「うん…」
本当になんとなく、電話をしたくなったんだ。
誰でもいいわけじゃなくて、それが渋谷だったらいいなって思った。
だから、繋がってよかった。
『…村田、何かあったの』
「どうして?」
『んー、いや、なんとなくだけど。もしかして何か聞いてほしい事とか、あったのかなって』
「…白状するとね、ちょっと仕事でへこむことがあってさ。何だか言いたくなったんだ」
『…そっか。ああ、じゃあおれ今から渋谷行こうか?聞くなら電話より直接話す方が』
「え?いいよいいよ、ホントにちょっと、声が聞きたくなっただけだから」
何か気分転換になればって思ったんだ。だから。
わざわざ会って話を聞いてもらう程では無いし。
『…うわ、村田さん、それちょっと可愛いかも』
「え?どういうこと?」
『…無意識かよ。…でも村田が弱ってるのは、珍しいな』
「弱ってるのかな…やっぱり」
『そんならおれとしては行くのは一向に構わないんだけど…大丈夫?あ、でも大丈夫じゃないから電話したんだよな…』
電話の向こうで心配そうに言うから。ちょっと笑ってしまった。
チョコレートは溶けて甘く広がる。
「…ううん、大丈夫。大丈夫になったよ」
カップを取ると、アメリカンを流し込む。
すっと入って、胸がホッとする。
「ありがとう、渋谷」
きみが心配してくれたから、もう大丈夫。
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