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ムラユで切なすな突発文。(^ω^)



渡された箱の中身を想像するまでもなく、目の前の親友は左指を掲げて見せた。
「へへ、いいだろ」
まだ新しいのは傍目からでも解るくらいで、自然と緩んでしまっている頬が可愛らしい。
好きなのはいつだって同じ温度でいられると思ったからで、こういう関係を引きずる為のものじゃなかったんだ。
手も足も口も指も唇も全部を使って、きみを引き止める術を探していた。
だけどか細い銀の輪っか如きに、その感情は一瞬で灰になる。
簡単すぎて驚くくらいだ。

「おれさ、結婚するんだ」

綺麗だった。その横顔はもう、僕のものでもないんだと悟る。いや、最初から誰のものでもなかった。
ああ、キスしたい。
唇の温度をそっと分けて、僕のものになってしまえばいいのに。
「そうなの、おめでとう」
「何かおれ、変なんだ。世界がきらきらしてて壊れそう。あいつが傍にいるだけで、幸せでしにそう」
それは僕も同じだよ。
きみが傍にいると、世界はずっと綺麗な色を付ける。
幸せは少し、ほろ苦くて切なかったけれど。
「ね、ちょっと指輪見せて。どういうの?」
「ん、これだよ」
外してもらった指輪を眺めて、彫ってある名前を見て胸が揺れる。
それは僕にはもう止められない感情で。
「ありがとう、いい指輪だね」
「うん」
「ほら、付けてあげる」
左手に触れる口実を心の奥で反芻して、指輪をそっと差し入れた。
うん、胸が壊れそうだ。
「…いいね、似合うよ」
「サンキュ」
その唇も、手も足も指も全部、きみのものだった。
僕のそれでよければ、いつだって全部きみにあげてしまいたかったのに。









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