なんでもかんでも。

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残暑ですね…!
随分おそくなってしまいましたが、拍手レスです…!
>ゆんた様
わああああああ拍手コメありがとうございます!嬉しいです!久々のムラユがあんなんですみません…!どうしても健全には終わらせない健ちゃんですが、また有利がまんざらでもないのが…^^バカップルですね・笑 こんなうちのムラユを好きだと言ってくださって嬉しい限りです!またちょこちょこ書けたらなーっと思ってます!
夏コミの応援もありがとうございました!無事に乗り切る事ができ、楽しい日になりました!
そして、ゆーちゃんのお誕生日に何もあげられず、(途中まで書いたけど終わらず)
そしてそれを放置して全然違う話を書きました・笑
ひまわりシリーズの派生で、グレタ嬢とコンラッドの話。コンラッドがユーリの事好きだったんだよって話です。
貴方がいつか死んでしまう日がくるでしょう。
その日がくるまで待ち続けるから、きっとそれまで生きていて。
その日がくる事だけは、貴方でも知っている真実だから。目を逸らさないで。
「…ねぇコンラッド」
「何だい?」
「私は、死後の世界を信じるんだけどコンラッドはどう?」
「オレも、死後の世界はあると思うよ」
そうなの、そうなのよ。死んだって死んだ後にまた世界は続くの。だから嘆く事なんて無いのよ。
でもでもだってだからって、今の世界を離れる結論には至らないの。何故かしら。
「そこで自決を図るのは、生に対しての冒涜だからかしら」
「ただ単に怖いんじゃないかな。死んだ後の事は誰も知らないから」
『宗教と革命家』という本を閉じると、私は顔をあげてコンラッドを見た。彼の背中はいつもあったかいし、太陽みたいな匂いがする。年を取ると加齢臭なんてものが出てくるというけれど、この人には永遠に関係なさそう。
「それにしても、馬に乗りながらよく本が読めるね」
「コンラッド馬の扱いが上手いから」
「だからって、馬車に乗っているのとは違うだろ?」
確かに、こんなぐらぐら揺れる馬の後ろで優雅に読書をする自分も自分なのだけれど、それほどまでに知識を得るのが楽しくて。たまにはデートしましょうと誘ったのは私なのに、こんな時にまで本の虫だなんて、お父様が聞いたら呆れるだろうな。
「コンラッド、ヴォルフお父様には内緒よ」
「わかった」
猊下に借りた本はいつも興味深いものが多くて、私はすっかり文学少女になってしまった。今興味があるのは宗教学。世界には幾つもの宗教があって、それによって人は満たされ、また対立して争う。平和を願う眞魔国にとって争いの火種をなくすのは永久課題でもある。その為にも私は色んな事を学んで、お父様達に少しでも恩を返せるようになっていきたい。
というのも半分、後は知識の泉に埋もれていたいのも半分。だからって部屋に閉じこもっていてはつまらないので、こうしてコンラッドに連れ出してもらうの。
「さぁ、着いたよグレタ」
「ありがとう」
お姫様にするように完璧なエスコートをされてちょっぴりときめきながらも、コンラッドと一緒に高台に登っていく。綺麗な森が眼下に広がり、遠くに海も見える。この景色が私は凄く好きなの。
「今日も綺麗ね」
「ああ」
「私、この景色をずっとずっと守っていきたいの」
「オレもそう思うよ」
「コンラッド、私の事、不思議な事ばっかりいう女だって思ってる?」
「珍しいね、グレタが自分の事をどう思うか聞くなんて」
「…本当ね、これじゃ毒女候補失格かも」
「オレは、グレタの言う事は間違ってないと思うよ」
コンラッドの瞳は薄茶で、銀の虹彩がキラキラと光る。それはユーリが例えていた言葉で、今も変わらずそこにある光。ユーリの言葉を借りれば、『小憎たらしい程カッコイイ』
いつも、彼に背中を押されると何だって出来る気がした。お父様は勇気をくれて、コンラッドには安心をもらった。
お父様の件があって、眠れない日に手を握ってくれたのも、コンラッドだった。
「私ね、今でもユーリが居るのが解るの。お父様はね、黒い羽をつけてるのよ」
口に出したらなんて嘘っぽい言葉なんだろうと思って苦笑した。でも私はユーリが死んでから、何度もその姿をみた。直接触れる事はできないけど、ずっと見守ってくれている。目が合えば、昔みたいに満面の笑みで笑ってくれる。
どうしてそれが私だけなのか、わからないけれど。
「ユーリがね、コンラッドに『強く、幸せに生きろ』って言ってたの」
「…ユーリが?」
明け方に目を覚ましたら、ユーリが窓辺に座ってた。お父様って声をかけたら、にっこり笑って。ごめんな。ちょっと伝えて欲しい事があって。そう私に言ったの。
「『おれは、ちゃんと最後まで見てるから。幸せになるのを見てるから』って、伝えてくれって」
コンラッドはおれに気付けないから。そう笑って言ったのに。
言葉にする程苦しくて、私は目頭を熱くさせる。
「…ユーリが、そんな事言ってたんだ」
あったかくて、優しい。コンラッドの声が空気に溶けていく。ここからの景色を、ユーリとコンラッドと三人でよく見に着ていた。しばらくはずっと、二人だけだったから。
今日はきっとユーリも一緒にきているわ。
「コンラッド、泣かないで」
「…ありがとう、グレタ」
絡めた指先は、子供と大人のそれではもうないけれど。
コンラッドの気持ちはきっと、これからも解らないままだけど。
聞けるのは今しかないけど、いつか彼が話してくれるなら、それを待つわ。
「グレタ、ユーリは今も側にいる?」
「うん、側にいるよ」
「そう…」
コンラッドはそう言うと、何かを慈しむ様に笑った。
その顔を見て、私は彼を想うユーリと、コンラッドを想って泣いた。
ユーリが愛した景色の中で。
ユーリがいなくなった世界の中で。
いつか終わる世界の中で。
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