なんでもかんでも。

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社会人ムラユ^^
リーマンパロやりたい!そろそろ頑張りたいです^^
やっぱりムラユってすごく好きだな!!!
着信履歴にリダイヤルすると、村田の声がやっと拾えた。月曜だっていうのにもう8時を回ったオフィスで、俺はガラガラになった喫煙室の脇にいる。
煙草は吸わない主義だけど、ここが一番人がいないからだ。
「もしもし、どうかした?」
電話をかけた理由は単純だ。メールがその前に入ってたから。
村田にしては珍しく、会いたいって言葉がそこにあって。
おれから普段電話なんてかけないけど、何かそういう気分になったんだ。
『どうもしてないけど、強いて言うなら渋谷不足』
おれの意図を読み取って直球で返してくる村田に久しぶりに照れると、ポケットに片手を突っ込んでウォレットをこねくり回す。どうやら外でかけているみたいで、時折雑音が入る。
電話やメールじゃ出来ない事、たくさんあるんだよな。そう言えば。
「ごめん、今忙しい時期で。今日もまだ職場にいるんだ」
『まだかかりそう?』
「うーん、もうそろそろ帰ろうと思ってるけど」
窓の外を見るとビルが並んでいて、あんなに頭の悪かったおれでもどうにか人並みに社会人をやれている事に違和感を感じる。ガラスに反射する自分の顔は高校の頃より幾分老けて、それでも時間は止まってくれない。
『きみのオフィスに入ってるスタバ、9時半までだから、それまでに降りてきて』
「え?お前、ここまで来てるの?」
まさかの返事に少しだけボリュームをあげてしまい、回りに人がいないか慌てて見渡す。別にやましい事なんか一つも無いのに、おれはいつだって胸を張れない。
『会いたいって言っただろ』
なのに、こういう言葉を聞くと嬉しくて、勝手に緩む頬を許してしまう自分はダメな男だと思う。
…だってさ、そういうこと言われて嬉しくならない男がいるか?
「…うん。わかった、切り上げていくから」
月曜なのに会いに来る辺りが、また突拍子無いというか。それが村田なんだけどさ。
いつまで経っても変わらないおれだけど、気持ちもずっと変わらずあるのが、疲れた心に癒しをくれる。
『うん』
嬉し気に応える村田は全部解ってるんだろう。
本当はおれが会いたい事も、それを切り出せない事も。
だからこうやって会いに来てくれて、わがままを言っておれを呆れさせて、それでも真っすぐに微笑んでくれる。
本当に村田には敵わない。
「じゃあ、また後で」
ぴ、と通話終了のボタンを押すと一つ伸びをして窓の外を見る。
ガラスに映った自分は、さっきよりも楽しそうにこっちを見ていた。
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