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某木10のドラマの展開がとんでもないことになりましたね。
後半30分はまるでダークなBLを見せられている気分でした。…(;´Д`)ウウッ…
ノンケプレイボーイ×一途ヤンデレゲイってとんでもねぇ話ですよね。
泣けるっていうか、なんていうか…ずっと応援してただけあって思い入れパネェ自分に噴いたw
うっかり続きでSS書きますた^^
部屋を飛び出して~喫茶店での電話辺りの妄想。
『知ってるか?アメリカでのゲイの自殺者の割合って30%らしいぜ』
―ふいに、そんな言葉を思い出した。
それはずっと昔の、まだ高校生だった頃の事だ。
初めて行った夜の街で、どうにでもなってしまえと入った店で、俺は彼に出会った。いきがって注文した酒を、ソフトドリンクに交換しながら隣に座ってきたその人は、綺麗な顔をしていた。
『君、未成年だろ?まだお酒は早いよ』
咎められたと思って身構えたけれど、予想に反して彼は優しかった。
『大人ぶらなくたって、直ぐになっちまうんだからさ。成人したあかつきには、一緒に酒を飲もうぜ』
それが初めての、同じ世界に生きる人との出会いだった。
部屋を飛び出してどれくらい経ったろう。時計を見ようと左腕に目をやったけど、そこには何も無かった。
ここ数日会社に行ってないので、付けるのを忘れていたんだ。
「…」
顔を洗おうと席を立つ。誰もいないトイレの鏡を覗くと、そこには、自分を見ている自分の姿があった。
数刻前にナカジが見て、驚いた相手。…嫌悪感を見せて、驚いた相手。
「…っ」
心臓の辺りがぎゅっとする。自分のした事を思い出して、息が速くなる。どうしてさっき、あんな事をしてしまったんだろう?
自分が怖かった。本当は解っているのに、理解しているつもりなのに、体が勝手に動いてしまう。解ってる。ナカジはノーマルで、俺の事は友達としか思ってなくて、本当はハルの事が好きで…。
でも、抑えられなかった。ナカジが俺を気にかけてくれて、それが優しさだと知っていても、嬉しかった。でも同時に、胸が凄く痛くて、苦しかった。だから、ナカジが無防備に寝ているのを見た時、つい手を出してしまった。
本当は、いつまでも永遠に黙っておかなければいけない気持ちだったのに。
「…ホント、俺は何をしてるんだろう」
医者の息子でありながら医学部を目指せない自分に負い目を感じていた。必死に入った出版社で、やっと自分が認められたと思ったのに間違いだった。セクハラをされて、だんだん心が壊れていくのを感じていた。
でも、皆に出会った。自分が発信した企画で、こんなに人脈が広がって繋がっていくのが楽しかった。ナカジの事を好きになって、それが俺の日常の小さな光だった。明るくて優しくて、少し子供っぽい姿が凄く、凄く好きだった。
ナカジの為に、何かしてあげたくて頑張った。ナカジの笑顔が嬉しかった。でもそれはただの独りよがりで、結局俺は最後までそれを守りきれる事も出来ずに、逃げ出した。
「…俺は、最低だ」
ふらふらと個室に入ると、鍵を締める。床に座り込むと、携帯を取り出した。時間は結構経っていて、着信履歴にナカジの名前が連なっているのを見つけた。それが今は、凄く苦しい。
好きな人の幸せを願えるくらいの恋だったら、今頃さっぱり諦めていただろう。望みが無いノーマルに恋をしたって先は見えている。なのに、俺にはそれが出来なかった。
昔の記憶が蘇る。初めてのゲイ知り合いの事。優しくて綺麗な人だった。自分の性癖に絶望していた俺に言葉をかけてくれて、話を聞いてくれた。前向きに生きろと言ってくれた。でも、彼は俺が成人する前に死んだ。
『知ってるか?アメリカでのゲイの自殺者の割合って30%らしいぜ』
最後に会った時、彼はそう言っていた。大学に受かった俺に飯を奢ってくれた。彼は少し酔っていて、その日も俺が成人したら色々飲みに連れて行ってやるよ、と笑っていた。
でも帰り道、会話が途切れた後に、思いだした様に彼は言った。
『10人ゲイがいたら、3人は自殺するんだ。それって、少なくないと思う』
俺は彼の言った意味が良く解らず、そうですね、と答えた。そしてその晩、彼は自殺をした。
詳しい原因は誰にも解らなかった。ただ、彼に交際していた人がいたのを、店の店員から聞いた。
どうしてあんなに明るくて優しい人が、自ら命を絶つのか解らなかった。
…でも、今なら解る気がする。
「…」
震える指でナカジの名前を選択して、発信ボタンを押す。怖かった。苦しかった。でも、それ以上にナカジが好きで、だから。
『リンダ?』
その声が聞きたかった。ちゃんと伝えたかった。願わくば愛してほしかった。そんな資格、無いのも知ってた。でも、でも。
「…一言さ、謝りたかったんだ」
ナカジのせいにして、俺の気持ちを肯定した。無防備に、素直に接してくるから襲われても仕方ないだなんて、勝手に理由をつけて、傷つけた。それだけは最後に謝りたかった。
『何を謝るんだよ、…俺今、撮影中だからさ、終わったら会おう?話そう?』
こんな俺に、真っすぐに向き合ってくれる。
「…うん、わかった、じゃあ待ってるね」
何でもっと早く、気付かなかったんだろう。
『…じゃあ、一旦切るからな?』
俺は最初っから、この太陽みたいな存在に、近づける筈は無かったんだ。
どこまでも優しくて、だから魅かれた。でも、手の届く存在じゃなかった。
「…ごめん、なさい」
ごめん、ナカジ。ごめん、父さん。ごめん、皆。ごめんなさい。俺は出会うべきじゃなかった。ずっと辛くて、苦しくて、抱えてきた事沢山あったのに、何も言えなくてごめんなさい。
傷つけて、逃げて、最低な事沢山して、でももう、終わりにするから。
自分の手で、嫌なところ、全部なくすから。
「…」
刃の切っ先を首筋に充てると、指に力を込める。
10人の内の7人になりたかったけど、やっぱり俺は、ダメだった。
ごめん。
ごめん。ナカジ。
愛してた。
すごく
世界が壊れるくらい
愛してた
さよなら。
